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元カレと新しいカレ

 
 新しいカレの話をする前に、まずは元カレの話から綴ります。
 元カレとの出会いはあまりにも突然で、躊躇していた私は、周りの強い薦めに押し切られるようにして付き合いだした。
 小柄だけど、見た目より力があって、何でも出来るヒトだった。私のわがままもよく聞いてくれて、付き合ってみて初めて良さを知るグレードの高いヒトだった。
 ただ、カレはかなり声が大きかった。私はそれが恥ずかしかった。
「どうしてそんなに声が大きいの?」と尋ねると、カレは「前の彼女が大きい声のヒトが好きと言ったから」と言った。
 私の知らない女のわがままが身についたままのカレと、周りに冷やかされながらも私は付き合った。大きな声のことを除けば、カレは素敵だったから。情熱的な色を好むお洒落なヒトだったし、やはり他にはない魅力を持っていたから。

 三年ほど経ったある日、やっとカレは私のアドバイスを受け入れてくれて、カレの大きな声は今までの半分ほどの大きさになった。
 私はますますカレに惹かれていった。カレとなら、どこにでも行けると思っていたし、そうしていた。私のちょっと無茶なお願いもカレはいつも聞いてくれた。そのことで危ない目にあっても、カレは体を張って私を守ってくれた。カレとこのまま、いつまでも付き合っていけると思っていた。

 付き合いだして六年が過ぎた頃、カレは小さな声で自分の限界を訴えかけてきた。
「これ以上、貴女の希望を叶えてあげることが出来ないんだ」
 私がカレに無茶をさせたせいかもしれない。力強かったカレは、どんどん衰えていき、絶えず体内から苦しそうな音を出していた。
 カレとはもうすぐ別れなくてはならない。私はそう感じ始めていた。でも、そう簡単にカレに負けじと劣らないヒトを見つけられるはずもない。
 カレは私に新しいカレが必要だと感じていたのだろう。半年もの間、私の『新しいカレ』を探す行為に付き合ってくれた。色んな店に足を運び、カレ以上に私を惹きつけるヒトを探した。
 やっと、カレと同じくらい素敵と思える可能性を秘めたヒトを見つけた。
 何度もその店に通っていると、ある人が私のカレをとても褒めてくれた。それが私にはとても嬉しかったのだ。他人から見ても、カレはやはり素敵なのだと知ることが出来た。
 そして、とうとう私は新しいカレに初めて触れる日を迎えた。
 それは同時に元カレと別れる日でもあった。
 私は心の中でありったけの感謝の気持ちを伝えた。今まで本当にありがとうと。そしてどうか素敵な人に巡り合って欲しいと。

 新しいカレは、私にとって憧れ続けた理想的なタイプだ。容姿といい、着こなしと色使いといい、その動きといい、すべてにおいて私好みである。
「これからよろしくね。大切にするね」とカレの腕を撫でたら、落ち着いた雰囲気のカレの返事とは思えないほど、はっきりと返事をしてくれた。でも、その後は無口。クールなヒトである。

 まだ、付き合い始めてから十日も経っていないけれど、きっと元カレ以上に長い付き合いになると私は思っているし、そうでありたい。新しいカレもそう思ってくれていると信じてる。
 今は徐々に信頼関係が出来上がってきたところ。初めて触れた日よりも私はカレが好きです。


※ 補足
カレ、ヒト = 車  です(笑)
大きな声 = 排気音
前の彼女 = 前の名義人
人 = 人間  

同じ(ひと)と呼ぶ言葉を、カタカナと漢字にすることで対象を分けてみました。
元カレこと、今まで乗っていた私の車は中古で購入しました。前の名義人の方がマフラーを大きいものに付け替えていたので、とても大きな排気音がしていたのですが、サイレンサーを付けて、ある程度音を抑えることが出来ました。

  
 

テーマ : 物書きのひとりごと
ジャンル : 小説・文学

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PN:彩世梨緒
著書『あったか色の涙』
12月13日生まれ
O型
B’z Bro.
ギター練習中。。。

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